火花散る夕暮れ

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  「い、いや、説明の方を先にしてくれっ! 先に不安要素を取り除きたい!」 誰の趣味かは知らないが、ミニスカチャイナ服に着替えたシェリスに、アルが必死で訴える。 しばらく物欲しそうにアルを見ていたシェリスだったが、やがて仕方なく口を開いた。 「しょうがないなあ。えっとね。この前、魔力の組成をアルに合わせて吸収するって話をしたけど、あれは厳密に言えば正確じゃないの」 「……正確じゃない?」 「うん。正確に言えば、吸収量と本人が持つ魔力量を天秤にかけて、多い方に合わせるっていう魔法なの。普通は本人の魔力より吸収する魔力の方が多いなんて有り得ないから、つい本人に合わせるって言っちゃったんだけど、そういえばアルは魔力無いんだもんね。ごめん、説明が間違ってたわ」 シェリスの説明に、アルは納得して頷く。 「ちなみに、私から魔力を貰ってもアルに変化が無いのは、量を加減してるのと、元々アル本来の魔力も混ざってるからだと思うよ」 「なるほど、じゃあもし石とかから魔力を吸ったら、そういう技が使えるってことか?」 「うん。〝かたくなる〟とか〝いわなだれ〟とか〝だいばくはつ〟とか使えるかもね」 「いやいやいやいや。自爆技は勘弁してくれよ」 シェリスの言葉に、アルは慌てて首を振るのだった。  
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