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腕が軋む感覚に、アルは先ほどのリースを思い出していた。
今まで毎日のようにふざけあっていたリースが見せた、あまりにも必死な表情は、アルの胸に強く響いた。
そしてやはり、思春期たるアルには、リースの胸の感触も忘れ得ぬ甘美な思い出となっていた。
アルは今まで、リースを女として見たことは無い。大事な幼なじみであり親友だとは思っていたが、付き合いが長すぎることもあり、どちらかと言うと男友達のような接し方をしていた。
しかし、今日のリースは違った。
服の上からでは意識できない小振りな胸も、手を当ててみれば、なかなかどうして、柔らかく危うい〝少女〟の感触を伝えてくる。
自分のために必死で恥ずかしさを堪える少女が、可愛くないはずはない。愛しくないはずがない。
今日の一件で、アルの中のリースの位置付けは、すっかり変わってしまったのである。
「……リース……」
惚けた頭で小さくその名を呟き、自身の手が包み込んだ豊満なバストを揉みしだく。
――しかし、そこでアルの動きが止まった。
今、自分が何をしていて、目の前にある胸が誰のものであるのかを思い出したからである。
――ガシッと、アルの手が掴みとられる。
目の前には、冷たくアルを見つめる、シェリスの空虚な瞳があった。
「……ねえ、アル。今なんて言った?」
「あ……あ……」
静かな怒りを乗せたシェリスの声。
アルはめのまえがまっくらになった。
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