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――どれほど時が経っただろうか。
アルにとっては永遠とも感じた恐怖の時間は、シェリスの大きなため息によって終わりを告げた。
「はぁ……。仕方ないわね。これでおあいこ、だよ」
「……えっ?」
溢れだした魔力を押し込め、いつもの口調で紡がれた言葉に、アルが小さく反応した。
「だぁかぁらぁ、おあいこにしたげるって言ってんの! 本当は殺したいほどムカついたけど、私のせいでアルに迷惑かけたのも事実だからね。今すぐ私を好きになれってのはさすがに無理かなって。だから、今回は聞かなかったことにしてあげるわよ」
シェリスの言葉に、アルはホッとしたように息を吐いた。
「……でも、次はないからね?」
「……あ、ああ」
ギロリと睨むシェリスに、もう一度戦慄するアル。
「今日は気分悪いから、一人で寝るわ。部屋に入ってきたら殺すから。……じゃ、おやすみー♪」
ヒラヒラと手をふるシェリスの姿を、アルは青ざめたまま見送るのだった。
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