激闘! ブラール・ハインケル

4/20
154人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
  「全く、あいつも人騒がせな奴だな」 「ねー」 シェリスとアルは辺りを見回しながら、連れ立って並木道を歩いていた。 昼休みも終わりに近付き、もうすぐ講義の時間になる。 レイムやカインなどであれば講義をサボっても不思議では無いが、リースはクラス委員という立場からも分かるように、こういう事に関してはしっかりしている方だ。 講義をサボってどこかへ消えるなど有り得ない。 そう考えると、初めは楽観視していたアルも段々と不安になっていくのだった。 「よっ、ご両人! 講義サボってどこ行くの?」 その時、アルの耳に聞き覚えのある声が飛び込んでくる。 声の方に振り向けば、木陰に設置された木のベンチに腰掛けながら本を読む、カインの姿があった。 「ああ、リースを探してるんだよ。お前見かけてないか?」 アルの問い掛けに、カインが大きく頷いた。 「ああ、リースちゃんならさっき体育館の方へ行ったのを見たぜ。ブラールの奴に付きまとわれてうざがってたみたいだけど……」 「ブラール……!?」 カインの言葉に、アルの不安が大きくなる。 問題児であり、色々と悪い噂の絶えないブラール。 リースはそんなブラールに、いつも冷たい態度をとっていた。 プライドの高いブラールだけに、それを根に持ってリースに危害を加えるということは充分考えられることであった。 「あいつまさか……。くそっ!」 「わっ! アル、待ってよー!」 胸にざわめく嫌な予感を振り払うように、アルは体育館に向かって走り出した。  
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!