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「こっちだシェリス!!」
まだ学園の地理を覚えていないシェリスを導きながら、アルは体育館へと辿り着く。
リースの名を呼びつつ、その周りを調べる事、数分。
やがて二人が体育館の裏へと差し掛かると、すぐさまアルがその場所の異変に気付いた。
「なんだこれ……?」
不自然に抉られた大地。
僅かに漂う血の香り。
ここには既に誰もいなかったが、つい先ほど何かが起こったのだという事は間違い無かった。
「この血の香り……まさかリースが……? くそ、マジかよ! リースとブラールはどこに行ったんだ!」
慌てるアルに、シェリスが横から口を出す。
「アル、この辺りに倉庫みたいなの無い? きっとそこにいるはずだよ!」
何の根拠も無いように思えるシェリスの断定に、アルは小さく首を傾げた。
「倉庫……? 確かにあるけどなんで……」
「もう、本当にアルは馬鹿だよね。男が嫌がる女をむりやり連れ込むなら倉庫へ……っていう昔から変わらない定義があるじゃない!」
ねえよそんなの、とツッコミを入れたくなったアルだったが、他に当てがあるわけでもない。
仕方なく、アルはシェリスを引き連れて、近くのグラウンドに併設された体育倉庫へと向かうのだった。
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