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「おお……」
倉庫内に嘆息にも似た声が上がる。
二つ名持ちで、ずば抜けた魔力を持つリース。
普通の男子では近寄りがたく、手の届かない存在であった彼女が、今はあまりに無防備な姿を晒している。
それはとても扇情的であり、こと一般生徒である外野の三人にとっては、夢のような光景ですらあった。
「ふむ。次は……」
わざとらしく顎に手をやりながら、ブラールがリースのスカートを眺める。
「うおおお――ッ!!」
それを合図に歓声をあげる三人。そのボルテージは最高潮に達していた。
――その時。
ドンッ!! ドンッ!!
突如、体育倉庫の扉が、けたたましく叩かれる。
「ブラール! 中にいるんだろっ!? 出てこい!」
そして、続きざまに響くアルの声。
それを聞いて、ブラールはニヤリと笑った。
「アルフレッド……。由緒正しき騎士の家柄であるガラード家に生まれながら、あまりの無能ぶりに両親から見放された落ちこぼれ……か。ククク、そういえばこの娘の友人だったな」
未だ鳴り止まぬ扉と、深い眠りについたリースを交互に眺め、ブラールが余裕の笑みを浮かべた。
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