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「ブ、ブラール様……大丈夫ですか?」
激しく揺れる扉を見て、男子生徒の一人が心配そうに声をかける。
「案ずるな。この扉には教室と同じだけの魔法結界が施されている。落ちこぼれごときがたとえ何をしても、開くことはないよ」
「そ、そうですよね」
ブラールの言葉に、男子生徒がほっと胸を撫で下ろした。
「さて、うるさいハエは放って置いて、続きをするとしよう。そして全てが終わったあと、アルフレッドの奴に、守ることが出来なかった友人の姿を見せてやればいい。きっと自分の無力さに嘆き悲しむことだろう。ククッ……楽しみが一つ増えたよ」
ブラールが邪悪な笑みを浮かべながら、リースに向き直る。
そして、既にその柔肌を大きくさらけ出しているリースを無遠慮に眺め回した。
「さて、無力なナイトが待ちくたびれてしまうからね。少し早めに事を運ぶとしようか」
未だに鳴り響き続ける激しいノックの音に、ブラールがクスリと笑った。
「ククッ……! なかなか頑張るね。どうせ開くわけ……」
「チェストォォォォ!!」
バキィィィッ!!
「うびゃあああ!」
刹那、なにやら猛々しいシェリスの掛け声と共に、倉庫の扉がぶち抜かれ、鼻に絆創膏を貼った男子が下敷きになる。
「な……そんな馬鹿な……!」
「ふぃー……。どのくらい手加減すればいいのか分からなくて時間かかっちゃったわあ」
思わず絶句するブラールに、逆光を浴びたシェリスが淡々と言い放った。
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