154人が本棚に入れています
本棚に追加
「まさか本当に倉庫にいるなんてな……」
アルが小さく呟きながら、シェリスの後に付いて倉庫に入る。
その瞳には確かな怒りの色が浮かんでいた。
「ブラール、リースはどこだ? 無事なのか?」
未だに状況を把握しきれていないブラールに、アルが静かな、しかし確かに怒気の込もった口調で問いかける。
「あ……ああ。リース君ならここにいるよ」
ようやく我に帰ったブラールが、マットに横たえられたリースをアルに指し示す。
そこに目をやったアルが、乱暴に着衣を乱されているリースの姿に激昂した。
「な……てめえ! リースに何をした!」
「今はまだ何もしていないさ、安心したまえ。もっとも、これから先のことは責任持てないがね」
その言葉を合図に、扉の下敷きになった一人を除く二人の男子生徒が、アル達の前に立ちはだかる。
「どんな小細工を使ってこの扉を破壊したのかは知らないが、しょせんは一介の使い魔に落ちこぼれ。全く恐れることはない。お前達、始末しておけ」
男子生徒に指示を出すと、ブラールはリースを抱え、倉庫の奥にある窓を開けた。
「ここは邪魔が入ったからね。僕は移動するよ!」
そう言ってブラールは窓からヒラリと倉庫を脱出した。
「しまった! シェリス、こっちは頼む!!」
「らじゃ♪ 終わったら私も行くね!」
アル達を妨害せんとする生徒二人をシェリスに任せ、アルは単身ブラールを追うのだった。
最初のコメントを投稿しよう!