両手に湯の花

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  「ど、どうしよう……」 浴室と曇りガラスで仕切られた脱衣場で、リースは困り果てていた。 張ってしまった意地は後戻りを許さず〝シェリスとアルが一緒に入浴してしまえば、自分は一人になって危険だから〟という理由まで付けて勝ち取った〝アルと一緒にお風呂に入る権利〟 だが当のリースは、脱衣場で服を着たまま右往左往している状態である。 ちなみに、曇りガラスの向こうには既にアルが入っていて、リースの傍らにはアルの着替えが綺麗に畳まれた状態で置いてある。 「アルの……大きい……。い、今、は、入ってるんだよね……」 小柄なリースから見れば、大きなサイズのアルの服が目に入り、思わずリースが呟く。 アルが既に風呂に入ってることを自己納得させただけなのだが、非常に誤解を生むセリフではあった。 「あれぇ? まぁだ着替えてたの? お先するわよ~♪」 その時、何故か一度部屋に戻ったシェリスが、脱衣場に入ってくる。 「アルぅ~♪ お背中流しましょうか~?」 「あ、シェリス……!」 迷うリースを傍目に、瞬時に全裸になって浴室に飛び込んでいくシェリスの姿に、リースが決意した。 「い、行ってやるわよぉ……もぉ!」 ギュッとまぶたをつぐんで、リースが勢いよくジャージを脱ぎ捨てた。  
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