84人が本棚に入れています
本棚に追加
「は、入るわよ……」
曇りガラスの扉を開けて、リースが浴室に足を踏み入れる。
身体にはしっかりバスタオルを巻いており、完全防備で臨んでいた。
「あーあ。来ちゃった」
「ほ、本当に来たのかよ……」
口を揃えて言うのは、湯船に浸かったシェリスとアル。
シェリスの裸体には大分慣れ始めていたアルも、バスタオル姿の幼なじみには免疫が無かったらしく、俯いて赤面していた。
「か、勘違いしないでよね! 私はアルとお風呂に入りたいとかじゃなくて、安全のために一緒に入ってるだけなんだからね! ちょっと聞いてんの!?」
「お、落ち着けリース。それはシャワーだ」
腕を組んで、何やら高圧的な態度でシャワーに語りかけるリース。
どうやら裸眼時の視力は相当に低いようだった。
「……へっ? じゃあどこにいるって……きゃあっ! ちょっと何ジロジロ見てんのよ、変態!」
「落ち着けリース! それは鏡だ!」
「声の方向考えなさいって!」
シェリスとアルに同時に突っ込まれ、テンパったリースが左見右見する。
「ああもう! じゃあこれがアル!?」
「残念! それは残像よ」
「シェリス、訳のわからん事を言うな!」
「ああもう! アル……きゃあっ!」
ザッパァァァン!!
ド派手な音を立てて、リースが湯船に落下した。
最初のコメントを投稿しよう!