両手に湯の花

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  「は、入るわよ……」 曇りガラスの扉を開けて、リースが浴室に足を踏み入れる。 身体にはしっかりバスタオルを巻いており、完全防備で臨んでいた。 「あーあ。来ちゃった」 「ほ、本当に来たのかよ……」 口を揃えて言うのは、湯船に浸かったシェリスとアル。 シェリスの裸体には大分慣れ始めていたアルも、バスタオル姿の幼なじみには免疫が無かったらしく、俯いて赤面していた。 「か、勘違いしないでよね! 私はアルとお風呂に入りたいとかじゃなくて、安全のために一緒に入ってるだけなんだからね! ちょっと聞いてんの!?」 「お、落ち着けリース。それはシャワーだ」 腕を組んで、何やら高圧的な態度でシャワーに語りかけるリース。 どうやら裸眼時の視力は相当に低いようだった。 「……へっ? じゃあどこにいるって……きゃあっ! ちょっと何ジロジロ見てんのよ、変態!」 「落ち着けリース! それは鏡だ!」 「声の方向考えなさいって!」 シェリスとアルに同時に突っ込まれ、テンパったリースが左見右見する。 「ああもう! じゃあこれがアル!?」 「残念! それは残像よ」 「シェリス、訳のわからん事を言うな!」 「ああもう! アル……きゃあっ!」 ザッパァァァン!! ド派手な音を立てて、リースが湯船に落下した。  
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