両手に湯の花

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  「きゃああっ!」 「大丈夫かリース! 俺の手に掴まれ……ってソコは手じゃねえっ!」 「リース!? アンタどさくさに紛れて!」 「えっ? なに? 何の話よ、もぉ~!」 狭い浴槽内から、三人の声がこだまする。 やがて、沈みかけたリースが引き上げられると、三人は狭い湯船の中で密着した状態になる。 リースもだいぶ落ち着きを取り戻したのか、近くにいるアルやシェリスの状況程度は、裸眼でもきちんと把握できるようになっていた。 さすがに先程までの見間違いには、緊張という要因も大きな割合を占めていたらしい。 ちなみにこの騒ぎでも、リースのバスタオルはきっちり巻かれたまま外れない辺り、さすが鋼鉄の処女だと言えよう。 「アルぅ~……好きぃ♪」 さて、この期に乗じて猫のようにアルにすり寄るシェリスを、リースが睨み付ける。 「ち、ちょっとシェリス! アンタくっつき過ぎじゃない!?」 「そういうアンタも、アルに胸押し付けてるじゃん。まあ、小さいからそのくらいアピールしないと気にして貰えないんでしょ? フフッ♪」 シェリスの言葉に、慌ててリースが自分の状態を確認する。 引き上げられた時から、しっかりと抱き抱えたままのアルの腕には、確かにリースの慎ましやかな膨らみが押し当てられていた。 「へっ……? きゃああっ! ち、違うのよ! これは偶然なのよっ!」 慌てて腕を離すリース。 右も左も刺激たっぷりなのに、下手に手を出せないこの状況は、もはやアルにとっては拷問だった。  
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