両手に湯の花

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  「じゃ、じゃあ俺はそろそろ出るぜ!」 もはや辛抱たまらなくなったアルが、股間を抑えながら慌てて湯船から立ち上がる。 「えーっ! ダメだよ! これから私の身体に石鹸塗りたくって、アルとじっくりねっとり絡み合いながら、身体を洗いっこしようと思ってたのに!」 「しねえよ!」 シェリスのサービスを断固拒否し、アルが浴室を出ていった。 「あーあ、つまんないの」 そんなアルの様子を見て、シェリスが残念そうに呟く。 そしてパチンと指を鳴らしてバスローブを出すと、それを身体も拭かずに纏い、シェリスもスタスタと風呂場を出ていってしまった。 「えっ? なによこの流れ!? ここは背中を流したりとかそういう展開じゃ……って、私がそんなことしたいわけ無いじゃない! 何考えてんのよ馬鹿っ!」 またもやテンパって洗面器へ説教をかますリース。 やがて落ち着きを取り戻すと、ため息を一つ落とし、他の二人と同じように浴室の扉を開いて脱衣場へ移動する。 そして、着替えるアルを横目に、ゆっくりとメガネをかけた。  
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