両手に湯の花

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  「はうっ……!?」 メガネをかけたリースは、鮮明になったその景色にたじろいだ。 先程まではおぼろげにしか見えなかった、腰にタオルを巻いただけのアルの姿や、バスタオル姿の自分が、今ははっきりと見えているのだから、リースが改めて羞恥を感じてしまうのは仕方の無い事であった。 「よお、リース。出たか」 アルがボソッとリースに話しかける。 「で、出たけど何か問題でも!?」 対して、テンパり気味に答えるリース。 それを見たアルが、何かを理解したように、大きく頷いた。 「あ、そうか。俺が居たら着替えられないよな。悪い悪い、部屋で着替えるよ」 ようやく空気を読んできたアルが、着替えを持ってそそくさと脱衣場を出ようとする。 その瞬間、リースの脳裏に、先程バスローブで出ていったシェリスの姿が浮かぶ。 シェリスのことだから、部屋でアルを待ち伏せるくらいのことはするだろう。 そこにこんな姿のアルが来ようものなら、そのまま襲われてギシギシアンアンな展開になりかねないのではないか。 そう思ったリースは、慌ててアルを呼び止めた。 「あ、アル、着替えくらいならここで……きゃあっ!」 「うわぁっ!」 立ちふさがったリースとアルがぶつかり、絡み合うようにして倒れ込んだ。  
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