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「はぁ~。暖まったわぁ」
「よぉ、シェリス。遅かったな」
ハルを送り届けたシェリスが、あたかも今まで風呂に入っていたような素振りで、キッチンで夕食を作るアルの元へと戻る。
鍋は既にコトコトと音を立てており、醤油と砂糖で味付けされた煮物が、香ばしい香りを漂わせていた。
「ちょっとシェリス! アンタも少しは手伝いなさいよ」
テーブルの上でサラダを盛り付けながら、リースがシェリスに怒声を放つ。
「えぇ~。ちょっと勘弁してよ。今マジで疲れてんのよ」
「お風呂入ってた分際で何言ってんのよ!」
リースの返しに、シェリスが大きなため息を吐いた。
どうやらシェリスは、ハルが来訪した事は隠しておくつもりらしい。
シェリスなりの気遣いか、はたまた他に何か考えがあるのかは不明だが。
「てか、それにしてもリースさぁ。ジャージ上下とか流石にあり得なくない?」
不意に、話を遮るように放たれた言葉に、ピンクと白でカラーリングされたジャージ上下に着替えていたリースの顔が真っ赤になった。
「う、うるさぁい! う、動きやすくていいじゃないのよ!!」
「フリルエプロンまで持ってきといて……ねえ。何かめちゃくちゃ短いルームウェアのショートパンツとかも……」
「何でアンタが私の荷物の中身知ってるのよっ!?」
「やらしいTバックの下着とかぁ……」
「きゃああああ! 違うのよ! あれはレイムが勝手に入れたのよぉ!」
必死で弁明するリースを見て、シェリスはニヤニヤと笑っていた。
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