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「よし、出来たぞ」
その時、女二人の会話には敢えて口を出さず、アルがタオルに包まれた鍋を持ってキッチンのテーブルに置いた。
「へっ? なによこれ……」
「ある程度火にかければ、あとはタオルに包んで置いとくだけで、しっかり中まで火が通るんだよ」
得意気に言うアルにリースが感心したように頷いた。
「よし、とりあえずこれは30分くらいこのままにしなきゃならないから、待ってる間に風呂入ってくる」
「あ、じゃあ私もー♪」
「ちょっ……!」
伸びをしながら呟くアルに、シェリスが素早く反応する。
その様子を見て、リースが顔を真っ赤にして声を上げた。
「な、なに言ってんのよシェリス! 一緒になんてだめよ! アンタ今入ったばかりじゃない!」
「なーんにも聞こえませーん。てか、なんで妻が夫と一緒にお風呂に入っちゃいけないのよ」
「誰が妻よ! とにかく、絶対ダメよ!」
「あーもう、うるさいわね! お風呂より前に、おネンネすることになりたいの?」
にらみ会うシェリスとリース。
そんな、一触即発の空気を遮ったのは、アルだった。
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