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「おいおい、二人とも落ち着けよ。俺は一人で入るから……」
「はあ!? そんなことが許されると思ってるの!?」
半ば強引に、シェリスがアルの腕を取る。
見た目では分からないが、シェリスはアルを逃がさんとがっしり力を込めていた。
「いいじゃん今更さあ~。もうアルには何回も裸見せてるんだしさ。きゃー♪」
「ちょっ……!」
「なんですって!」
シェリスの発言に、リースの拳がわなわなと震える。
シェリスが強引に見せているのだとは飲み込めていても、やはり面白くないようであった。
「だからぁ~♪ いいでしょ? ねえアルぅ……」
「おい、ちょっと離せよ!」
そして腕をがっしり掴んだまま、おねだりするシェリスに、それを振りほどけないアル。
このままだと、アルは無理矢理にでもシェリスと共に入浴させられてしまうだろう。
そう思った時、リースの中で何かが弾けた。
そしてその口は、思わぬ発言を紡ぎだしてしまったのである。
「……分かったわ。いいわよ、一緒に入ればいいじゃない。その代わり……」
「……その代わり?」
聞き返すシェリスに対してリースが、ぶつけるように言葉を吐き出した。
「その代わり、わ、私も一緒に入るわ! いいでしょ!?」
「ええええ!」
「なにぃっ!?」
いつもはリースの邪魔をする意地が、今回ばかりは背中を押した。
勢いで放ってしまった発言に一番焦っているのは、他でも無いリース自身であった。
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