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「……マジかよ、レイム」
「マジマジ。大マジよ。先手必勝って言葉知らないの?」
レイムの提案に、アルが思わずため息混じりで聞き返した。
「かと言って、全校生徒の前で土下座って……」
「そのくらいしないと、誠意が伝わらないでしょ。アル君のした事は、もう学園中に知れ渡ってるのよ。潔白を証明するのに、カッコなんか気にしてる場合じゃないでしょ。全校生徒の前で先に謝っちゃえば、あの子もさすがに手出ししにくいだろうし」
口ごもるアルに対して、レイムは諭すような口調で返す。
リースとシェリスは黙って脇につき、事の顛末を見守っていた。
「ふぅ……。じゃあアル君は、自分が悪くないと思ってるのかな?」
「そういうわけじゃ無いけど……」
未だ煮え切らないアルに、レイムは少し強い口調で言葉を繋げた。
「確かに、あの子は普通と違って、色々バイオレンスな子だけど、やっぱり女の子なのよ? 朝の出来事でショックを受けてないわけないでしょ?」
「ま、まあな……」
「だったらさ。逃げるよりまずは謝らなきゃ。後のフォローは私達も協力するからさ。頑張れ、アル君!」
レイムの応援に、アルはおずおずと頷くのだった。
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