公開処刑

3/4
前へ
/37ページ
次へ
  「はぁ……とんでも無いことになっちまったなあ」 「まっ! 仕方ないんじゃない? 大丈夫だよ。アルが皆に嫌われても、私だけはアルを愛し続けてあげるからっ♪」 「はいはい。ありがとうな」 息苦しさを感じ、テラスへと出たアルに、シェリスがピッタリとくっついて励ましを送る。 気の無い返事にぷくっと膨れるシェリスだが、ギュッと抱き締めたアルの左手は決して離さなかった。 良く晴れた空は、惜しみなく暖かい光を二人に注ぎ、アルの心中とは逆に、その身体をキラキラと照らし出していた。 「さて、決行は昼休み……か。それまでに何か準備しとくこととかあるかな」 「謝るだけだし、大丈夫じゃない?」 「まあそうなんだけど……な」 アルの脳裏に一抹の不安がよぎる。 確かにキャミィに対して申し訳ない気持ちはあるが、殺されても良いなどと殊勝なことを考えているわけでは、当然無い。 レイムの言う通り、衆人監視ではキャミィも動きにくいだろうが、それでも何かしらの準備はしておいた方が良いと感じていた。 「何かないか……ん?」 テラスに身を任せながら建ち並ぶサブ校舎を見ていたアルが、何かに気づいたように言葉を止めた。 「……なるほどな。よし、そうと決まれば……」 「……アル?」 何やら呟きながら歩き始めるアルを、シェリスが首をかしげながら追いかけた。  
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

85人が本棚に入れています
本棚に追加