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「はぁ……とんでも無いことになっちまったなあ」
「まっ! 仕方ないんじゃない? 大丈夫だよ。アルが皆に嫌われても、私だけはアルを愛し続けてあげるからっ♪」
「はいはい。ありがとうな」
息苦しさを感じ、テラスへと出たアルに、シェリスがピッタリとくっついて励ましを送る。
気の無い返事にぷくっと膨れるシェリスだが、ギュッと抱き締めたアルの左手は決して離さなかった。
良く晴れた空は、惜しみなく暖かい光を二人に注ぎ、アルの心中とは逆に、その身体をキラキラと照らし出していた。
「さて、決行は昼休み……か。それまでに何か準備しとくこととかあるかな」
「謝るだけだし、大丈夫じゃない?」
「まあそうなんだけど……な」
アルの脳裏に一抹の不安がよぎる。
確かにキャミィに対して申し訳ない気持ちはあるが、殺されても良いなどと殊勝なことを考えているわけでは、当然無い。
レイムの言う通り、衆人監視ではキャミィも動きにくいだろうが、それでも何かしらの準備はしておいた方が良いと感じていた。
「何かないか……ん?」
テラスに身を任せながら建ち並ぶサブ校舎を見ていたアルが、何かに気づいたように言葉を止めた。
「……なるほどな。よし、そうと決まれば……」
「……アル?」
何やら呟きながら歩き始めるアルを、シェリスが首をかしげながら追いかけた。
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