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「でね。話の続きなんだけど、4~5人の魔導師に襲われた彼女はどうしたと思う?」
レイムの問いに、アルはう~んと唸って考え込む。
「……誰か大人に助けてもらったとか?」
アルの解答に、レイムはふるふると首を振った。
「……返り討ちにしたのよ。それも、全員の首を斬り落として、ね」
「なっ……!?」
驚愕するアルに追い討ちをかけるように、レイムは更に言葉を続ける。
「護衛が駆けつけたときには、敵はもう残り一人になっていたそうよ。命乞いをする相手を、何の躊躇いもなく風の魔法で斬首したんだって」
レイムの言葉に、アルが震え上がる。朝、キャミスールから放たれた言葉が、恐怖を纏ってアルの頭の中で反響した。
「でね。呆然とする護衛に向かって、にぃ~っと笑いながら血まみれの彼女はこう言ったそうよ。『ねえ見るですの。こいつらの血、私の髪みたいに真っ赤ッかですわ。おばあちゃまの白髪、これで染めてあげたら喜ぶかしら?』」
「もうやめてくれええっ!」
「ああ、ちなみにあの子、キャミィって呼ばれてるらしいわよ」
「そんなんどうでもいいわ!」
ブラールが可愛く見えるほどに恐ろしいキャミィの逸話に、アルは真面目に命の危険を感じざるを得なかった。
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