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「まあ、脅すわけじゃないけど、アル君は今回、朝の件が知れ渡ってるから、襲われたとか適当な理由をこじつけられて、本気で殺すつもりで来るかも知れないから、気をつけてね」
そう言って、レイムがシェリスに目を向けた。
「シェリスさん。そういうことだから、何かあったらアル君を守ってあげてね」
「……分かってるわよ。アルだって本気であの子を襲おうとしたんじゃないのは知ってるしさ」
シェリスがボソッと呟くように言う。
どこか不満気な様子が見てとれたが、その理由までは、誰も察することはできなかった。
「……でも、珍しいわよね。もうこの話、校内に知れ渡ってるらしいじゃない? てことは、あの子が言いふらしてるんでしょ? 私だったらあんな事があったら隠したくなるけどね。恥ずかしいし」
不意に放たれたリースからの疑問に、レイムが大きくうなずいた。
「普通はそうよね。でも、あの子の場合は復讐を正当化したいんじゃない? アル君の悪行を広めておけば、報復もしやすいんでしょ。貴族の立場だってフルに活用するつもりよ、きっと……ん? そうだ!」
そこまで言って、レイムが何かを思い付いたように、ポンと手を打った。
「いいこと思い付いたわ! アル君、私の言う通りにしてみて」
不安げに俯くアルに、レイムは自信たっぷりな表情で言うのだった。
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