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まるでビー玉を散りばめたように、朝日を受けてきらきらと輝く水面を眺めながら、二人は海岸線を歩く。
柔らかい砂浜は、踏みしめる度に重さを増すようにも感じるが、それもまた一つの醍醐味と思えた。
「たまにはこういう景色の中を歩くのも良いですね」
「そうですのね」
かたやメイド服、かたや制服の少女。
端から見ればなんとも奇妙な組み合わせであるが、この場所は人通りも少なく、誰にも見咎められる事はなかった。
「……ククリー。断罪の洞窟が見たいですの」
「えっ?」
突如現れた思いがけない単語に、ククリーはすっとんきょうな声をあげた。
「断罪の洞窟……ですか? あんな所に行っても楽しくありませんよ? 昔は処刑場だった場所ですし……」
「知ってますの。地下水脈の関係で、一日に何回か、超高温の水が洞窟内を満たす……って聞いてますの」
「ええ、それを利用して、天然の処刑場として利用されてました。まあ今はハインケル家で維持管理をしていますので、そのように使われることも無くなりましたが」
「だから見たいんですの。うちで管理してる場所くらい、把握しておかなきゃ恥ずかしいですわ」
「管理してると言っても、たまに異常が無いか調べる程度で、普段は鍵をかけたまま開けることも無いのですが……」
「つべこべ言わずに案内しますの!」
やけに押しが強いキャミィの勢いに負けて、ククリーはおずおずと頷いた。
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