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「……ここが断罪の洞窟ですのね」
海から程近い岩壁に、ぽっかりと口を開けている洞窟を眺め、キャミィが呟いた。
入口には重々しい鉄の扉がつけられており、しっかりと錠が施されていた。
「今日は鍵を持ってきてありませんので、中は見せられま……」
「持ってますの」
キャミィが胸ポケットから鍵を取り出して、ククリーに見せつける。
ククリーは暫く目をパチクリさせていたが、やがて大きくため息を吐いた。
「……なるほど。最初からそのつもりだったのですか。仕方ありませんね。今の時間ならまだ洞窟内も安全ですから、中に参りましょう」
二人が洞窟に近づき、扉の前に立つ。
今まで数々の罪人を飲み込み、その命を奪ってきたのであろうその洞窟は、重々しい威圧感を持って二人を迎えた。
「では、開けますのよ」
キャミィがゆっくりと、鍵穴に鍵を差し込む。
淡い光が鍵穴から漏れ、錠が開いた。
「では、行きましょう」
ククリーが扉を開き、洞窟の中へと足を踏み入れる。
真っ暗だった洞窟を、外から差し込む朝日が照らし出した。
「まあ中に入っても大したものは……」
ガシャン
「……!?」
刹那、ククリーの視界が闇に包まれた。
扉が閉まったのだ。慌てて開こうとするも、扉はピクリとも動かない。
どうやら、外から鍵をかけられてしまったようだった。
「キャミィ様!? 冗談はお止め下さい! キャミィ様!」
ククリーが必死で扉を叩くも、閉ざされた扉は何の答えも返してはくれなかった。
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