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「ねえ、ささみ。私、本当はアルをどう思ってるんだろう……」
アルから宛がわれたにも関わらず、昨日は結局ほとんど使用しなかった個室で一人、リースはベッドで寝そべりながら、ぬいぐるみに話しかけていた。
今リースが話しかけているのは、ささみと名付けられたニワトリのぬいぐるみである。
他にも、豚のとんかつ、猿のあいあい、牛のさーろいんなど、ネーミングセンスに異議を申し立てたくなる名前が連なっているが、本人は、そのぬいぐるみ達をいたく可愛がっているらしい。
「リース、キミはもしかしたら、アル君のことが好きなのかも知れないよ?」
「そうなの……かなあ」
ささみをピョコピョコと動かしながら、声色を変えてぬいぐるみと一人会話をするリース。
端から見れば痛い子確定だが、ぬいぐるみが話しているとすることで、普段は口にできないことも自然と口に出せてしまうようだ。
いわば、心の中で発生する葛藤を、ぬいぐるみとの対話という形で解決しているといったところか。
普段から素直になれないリースにとって、代わりに自分の気持ちを代弁してくれるぬいぐるみ達の存在はありがたいものなのだった。
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