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「な、なによ! 私だって……私だって……」
リースに言い返そうとしたシェリスが言い淀む。
その様子を見て、リースが更に苛立ちを露にした。
「言いなさいよ!! 言わないと誰もアンタを理解できないのよ! 私だってアンタを理解してあげたいよ! でも、悪いけど今の状態じゃアンタに対して憎しみしか沸かない。黙ってて心配して貰えるなんて、そんな甘い話あるわけ無いでしょ!? ねえ、シェリス……。お願いだから、私を納得させてよ……」
捲し立てたリースが、まるで懇願するように、シェリスに答えを求める。
リースはただ、理由が欲しいだけだった。
いきなり現れて、身の回りを引っ掻き回すシェリスに、嘘でもなんでもいいから、もっともらしい理由を話して欲しかった。
リースも当然、シェリスが何かを抱えてることは気付いている。
だが、だからと言って、アルのようにシェリスの事情を知らぬままに優しくできるほど、リースはお人好しではなかった。
だから、事情をしっかり聞いて、シェリスに歩み寄るきっかけを作りたかった。
しかし、シェリスは結局、その想いに応えることは無かった。
「……アンタには……関係無いでしょ」
明らかに無理して放たれたシェリスの言葉。
しかしその言葉は、リースがすがっていた最後の蜘蛛の糸を、簡単に切って落としてしまった。
がくりと腰を落とし、床に座り込むリース。
虚ろなその瞳からは、涙が溢れ出していた。
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