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「な、なに……? アンタ誰!? なんで私の部屋に……」
「まあまあ落ち着いて。ゆっくり話をしようよ」
警戒心を露にするレイムに対して、少年は飄々とした態度で話を続ける。
レイムよりも若干年下。ハルくらいの年齢と見受けられる少年であったが、凛として輝くブルーの瞳は、そこに確かな強さを内包していた。
「落ち着いてって……勝手に部屋に……」
「まあまあ、僕はあなたの助けになりたいんですよ。お母様を守りたいんでしょう?」
その言葉に、レイムは思わず黙りこくった。
先ほどから一度も崩れたことのない、少年の柔和な笑顔は、不思議とレイムを惹き付ける魅力を放っていた。
「ママを守るって……どうするの? あなたがパパを何とかしてくれるとでも言うの?」
ほどなくして放たれたレイムの言葉に、少年が静かに首を振った。
「僕は君のお父さんには何もしないよ。何とかするのは――君自身さ」
自信たっぷりで言い放たれた言葉を受け、レイムは訝しげに首をかしげるのだった。
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