弱さゆえに

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「僕はね。君のように虐げられている人を助けたくてたまらないんだ。だから強い者から力を奪い、君のように力無きゆえに苦しんでいる者に分け与えているんだよ」 「――ッ!? あなたまさか……シーク・ノスラウス!?」 「ご名答。僕もなかなか有名になってきたみたいだね」 にっこりと笑うシークを前に、レイムは驚きの表情を浮かべていた。 シーク・ノスラウスという名前は、レイムもよく知っている。 人々を弾圧する貴族などの力を奪い取り、弱さゆえに苦しむ者に、その力を与えて去っていく。いわゆる義賊と言っても良いだろう。 神出鬼没で、誰もその正体を知るものは居ない。名前すら本名であるか分からない。 そんな、謎多き人物であった。 「シーク・ノスラウスさん……。まさか会えるなんて……」 レイムがマジマジとシークを見つめる。 レイムにとって、強きを挫き、弱きを助けるシークの行動は、憧れのスーパーヒーローそのものだったのだ。 「あはは! そんな畏まんないでいいよ。僕はただ、君を助けたいだけなんだからさ。じゃ、早速君に力を与えよう」 そう言って、シークがその右手から、虹色に輝く光を浮かび上がらせた。  
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