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「まず、初めに言っておくよ。僕は、誰に対してもいきなり強大な力を授けることはしない。それが新たな悪を産んでしまう可能性もあるからね。君に授けるのは、いわば最初の起爆剤となる力。この力を育て、状況を打破するのは、これからの君自身だよ。覚えておいてね」
「えっ……!?」
シークの言葉に、思わずレイムが顔をしかめる。
その表情を敏感に察知したシークが、再度口を開いた。
「努力せずに手に入れた力は、人を堕落させる。僕はそんな人間を増やしたくはないんだ。申し訳ないけど、分かってくれないかな」
諭すようなシークの言葉に、レイムがおずおずと頷いた。
「よし、じゃあいくよ」
その言葉に合わせて、虹色の光がゆっくりとレイムに向かって移動する。
レイムはただ瞳を閉じて、それを待った。
――疑いが無いわけではない。
目の前の人物が本当にシークであるかは、レイムには判断のしようが無いのだから。
しかし、それでもレイムは、暖かい空気の流れを伝い、目の前の魔力球に手を伸ばした。
「――インクリース・ゲイン」
触れた瞬間、シークが高らかに声をあげる。
レイムの身体を光が覆いつくした。
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