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「レイム、どうした?」
「……ん」
抱き締めるカインの問いには答えずに、レイムはその腕の中で幸せそうに頬擦りをしていた。
「レイム……」
その姿を見て、カインは悟った。
レイムが男性と付き合うのは、自分に愛情を注いでくれる男性が欲しいからなのだ、と。
父親からの愛情を全く受けることなく育ったレイムは、その反動で男性依存気味になってしまっているのだと。
そう思えば、レイムが一人の男性と長続きしない理由も合点がいく。
遊んでいるという噂ばかりが先行しているせいで、男の方がレイムの寂しさに気付いてやれないだけなのだ。
レイムはあまり友達から恋人を作ることはしない。
今まであまり面識も無い男性と付き合っていたのなら尚更、レイムの気持ちに気づくのは難しいだろう。
ただ求めているだけだと思われるのが関の山だ。
普段から冷静で、みんなのまとめ役になってくれてるレイム。
反面、沢山の男性と遊び回っていると後ろ指を指されているレイム。
だが、目の前にいるレイムは、そのどちらでもない。
まるで雨に震える子猫のようにぬくもりを求めてさ迷う寂しい少女がここにいた。
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