舐め合い

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  「ん……」 「お目覚めですか、お姫様?」 心地よい微睡みの底から這い出すように、ゆっくりと目を覚ましたレイムに、カインがからかうような口調で言葉をかける。 裸のままの二人の身体はぴったりと張り付き、まるで皮膚そのものが離れたくないと訴えているかのようにも見えた。 「ごめん、寝ちゃってたんだ」 「いいんだよ。ほんの一時間だ」 カインの胸に顔を埋めたままで言葉を溢すレイムに笑いながら答えるカイン。 二人の間に、仄かな汗の香りが立ち込める。 カインの胸から伝わってくる心音はとても心地よく、よもすればまた眠りについてしまいそうになるのを、レイムは何とか堪えた。 ――カインとの行為は、レイムが今までに経験した誰よりも遥かに気持ちよく、幸せな時間であった。 何度となく抱き締められ、何度もお互いの唇を重ね、身体中の至るところに優しい口付けをされた。 今まで自分が求めていたこと、して欲しかったこと、その全てをカインは与えてくれたのだ。  
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