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「ご、ご主人たまぁっ! こ、これはぁ……っ」
「あははっ! あーっははは! 朝になったら迎えに来るから、それまで絶対に壊れるなよ? これは〝命令〟だ」
「え……っ!? ひゃあうっ! やだっ……ご主人たまぁ! はぅっ! い、行かないで! ご主人たまぁぁぁ!」
嬉々としてその身体を貪り尽くす触手に埋もれたシャノカの呼び声を背に、シークは悠々と部屋を出る。
それはシャノカにとって、地獄の責め苦の始まりであった。
「ふぁぁぁっ! ご主人たまぁっ! くぅぅっ……! もうやだ……リース……シェリス……あいつら、絶対に、絶対に同じ目に合わせてやる……! ああああ――っ!」
シャノカの恨み節が、叫びとなって響き渡る。
部屋の外からそれを聞きながら、シークは一人ほくそ笑んだ。
「そうだ、もっと怒れ。怒りを力に変えるんだ、シャノカ。そして兄さんの目の前で、大事なリースとシェリスをメチャクチャにしてやるんだ。君にはその力がある」
シャノカの矯声を聞きながら、まるで呼びかけるようにシークが言葉を溢した。
「待っててね、アルフレッド兄さん。僕がすぐに淘汰してあげる。与奪の魔導師は、僕だけで充分なんだ」
先ほど何度もシャノカに確認したことを、噛み締めるように放つ。
その瞳には、絶対の自信と決意の炎が浮かんでいた。
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