鮮血の記憶

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  「まあ、リリー様! 素敵でございますわ!」 「おや、可愛いねえ」 ブラールに付いていたククリーとレギンスールが、リリーの晴れ姿を見て同時に声を上げた。 「ふふっ、ありがとう! ね、ブーちゃんはどう思う? 似合う? ねえ似合う?」 口をポカンと開けたまま動かないブラールの瞳を覗き込むようにして、リリーが問いかける。 呆然としていたブラールも、ようやく我に返った様子で、瞳を泳がせながら答えた。 「ま、まあ似合うと思うぞ! 普段のガサツさを上手く隠せてるしな!」 「あっ、なにそれー」 「まあまあリリー様。ブラール様は、リリー様があまりに美しいから照れておられるのですよ。これはいわゆる照れ隠しでございます」 「ク、ククリー!」 的確に図星をついたククリーの言葉に、ブラールが顔を真っ赤にして抗議する。 それを見たレギンスールが、安心したように笑った。 「はっはっは! この分なら、今日のアレは大丈夫そうだね」 「ああ、リリー様の許嫁として、リーズブルグ家の親戚一同の前でブラール様を紹介するというアレですね。それなら全然大丈夫でございますよ。お二人は本当に仲がよろしいですから」 ククリーの言葉に、笑顔で頷くリリーと、顔を真っ赤にしてムスッと俯くブラール。 反応は違えど、二人とも肯定の意を示していることは明らかだった。  
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