鮮血の記憶

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  「ふふっ。やはりリリー様もこういった事でお悩みになるのですね」 「あ、当たり前だよ! 私だって、分かんないこと沢山あるし……」 リリーが頬を微かな桃色に染めながら、長い睫毛を伏せる。 「それでいいのですよ。分からないことは、一つ一つ経験して覚えていけば良いのです。成功と失敗は同義語です。怖がらずにチャレンジでございますよ」 微笑みながら諭すように言うククリーに、リリーが少し不機嫌な表情を見せた。 「はぁ……。なんかやっぱり、ククリーさんには勝てないなあ。ブーちゃんに愛されてるのも分かるよ」 「どういうことです?」 不思議そうに聞くククリーに、リリーが頬をぷくっと膨らませた。 「だぁかぁらぁ! ブーちゃんてば、いつもククリーさんにベッタリだし、ククリーさんの話ばかりするし、それで本当にククリーさんは魅力的だし……。なんかちょっとさ……うぅ~!」 何やらジタバタしながらまくし立てるリリーに、ククリーは思わず吹き出してしまう。 ブラールの前では、自分の方がほんの数ヶ月ではあるが、年上だと意識しているのだろう。思わずドキッとするような大人びた表情を見せることもあるリリーだが、その実はまだ七歳の少女。 ヤキモチ焼きで甘えん坊な、幼い少女なのだ。 「大丈夫ですよ。ブラール様はリリー様のことが大好きですから」 「そうかなあ……」 まだ少し納得がいかないようで、複雑な表情を見せるリリー。 しかしククリーは、ブラールとリリーならば、これからの未来をずっと支え合って、幸せに過ごしていけるだろうと確信していた。 ――そう、次の瞬間までは。  
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