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――ゴゥゥン!!
激しく叩きつけるような爆音が空気を震わせる。
慌てて窓から外を見れば、百メートルは離れているはずの正門の辺りから巨大な火柱が立ち上り、悲鳴と怒号が響いていた。
「な、なに!? 一体何が……」
「落ち着いて下さい、リリー様」
混乱するリリーをなだめながら、ククリーが慎重に外の様子を伺う。
正門の方角から次々とこちらに撃ち込まれる攻撃魔法が、侵入者の存在を如実に表していた。
「こんな良き日に誰がこのような無粋なことを……! リリー様、ここは危険です! 一旦裏門から外へ退避しましょう!」
「え、でも……」
「おつかまりください!」
戸惑うリリーをククリーが抱き抱え、長い廊下を駆ける。
屋敷の裏口を出れば、すぐに裏門まで辿り着くことができる。侵入者がまだ正門にかかずらっているうちに、リリーだけでも逃してしまいたかった。
正門には、二つ名持ちのガードマンを数名配備していた。
それを打ち倒したのであれば、相手は相当の手練れ。いくらククリーと言えど、リリーを庇いながら戦える自信は、さすがに無かった。
ともかく、何を置いても、一刻も早くリリーを安全な場所に退避させなければならない。
屋敷の中にまで届く悲鳴を振り払い、ククリーはただ、長い廊下を走った。
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