鮮血の記憶

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  「何を馬鹿な……! 我々は大義のためなら命を捨てることも厭わぬ! その覚悟でここに来たのだ」 「そうだ! 我々の救世主は既に正門から侵入を果たしているはず。我等はここで潰えるとも、正義の礎になるのだ!」 瞳に炎を宿して大義を謳う男達に、ククリーは大きな、深い深いため息を落とした。 「……愚かな。力への抵抗を謳っておきながら、力に盲信し進むべき道を見誤るとは……」 ククリーの射抜く視線が、鋭さを増す。 「反体制? 正義? そんな偉そうな思想をぶら下げても、それを為すべき人間が無知無能では仕方ありませんわね。事の本質も捉えずに、ただ見えている部分のみで全てを判断し、誰かに言われるがままリーズブルグ家を襲う。こういうのを世間一般では単細胞と言うのです」 「貴様……黙れえっ!」 ククリーが静かに放った言葉は、敵の逆鱗に触れてしまったらしい。 逆上して襲いかかる男達に対し、ククリーは両手一杯の金属球を構えた。 「あなた方に好ましい部分は何一つございません。――終わりに致しましょう」 ククリーが、両手の金属球を解き放つ。 阿鼻叫喚の渦が、血飛沫と共に舞い上がった。  
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