アルとシェリスの悲しい過去

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  「お前が俺の使い魔か……?」 まだ6歳ほどの金髪の少年が、本から出てきたシェリスに言葉をぶつける。 その後ろには、満足げにそれを見つめる両親の姿があった。 「そうよぉ♪ よろしくね、アル君!」 シェリスは笑顔でアルに近付き、契約の口付けを交わす。 それを見たアルの父親は、嬉しそうに手を叩いた。 「ハハハハハ! これでアルは最強の力を手に入れることになる。ザルファーの馬鹿がシャノカを連れ去ってしまったときにはどうしようかと思ったが、シェリスだけでも残っていてくれてよかった。さあ、早くアルに力を渡せ。そして共ににザルファーを探し出してシャノカを取り戻そうではないか!」 高笑いを浮かべる父親に少し複雑な表情を浮かべるシェリス。 しかしそれに続いて、アルもまたシェリスにその腕を差し出した。 「……早くしろ。父様がお怒りになるぞ」 普通の人間であれば思わずたじろいでしまいそうな闇を纏った瞳。 「あはは、そうだよね! じゃ、早速いくよ」 そしてシェリスは精一杯の笑顔を浮かべて、この少年に魔力を受け渡す。 今ここに、世界を揺るがす大魔導師が誕生しようとしていた。  
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