アルとシェリスの悲しい過去

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  「待ってよ、レイム~」 「あははは! こっちこっち~」 数日後、アルは窓に頬杖をつき、外を走り回る二人の少女を遠巻きに見つめていた。 二人とも、年齢はアルと同じくらい。 銀髪を可愛らしく結わいた少女と、黒髪をピンで留め、メガネをかけた少女。 幼き日のレイムとリースであった。 「アル君、一緒に遊びたいんじゃないの?」 「……別に」 シェリスの言葉に、アルはプイッとそっぽを向いた。 アルが昨日、何やらこっそりとニワトリのぬいぐるみと可愛らしい香水を一瓶買っているのをシェリスは知っている。 アルの目線が、いつもリースの方を向いていることもシェリスは知っている。 そして、彼女らの会話から、明日がリースの誕生日だということもシェリスは知っていた。 ずっと他者との関わりを制限されて過ごしてきたアルだから、ここから毎日見える、少女の楽しげな姿に惹かれるのだろう。 それがどのような感情なのかは、分からない。 恋愛感情かも知れないし、ただあの二人の中に入って遊びたいというだけなのかも知れない。 だがシェリスは、いつも背伸びしているアルが見せる、そんな子供らしい一面を、どうにかしてもっと引き出してやりたくなったのだった。  
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