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「……どうしたの?」
まるでゼンマイの切れた人形のように動きを止めたアルに対して、リースが訝しげに問いかける。
アルはといえば、この先どう言葉を発すればいいのか分からず、硬直したまま突っ立っていた。
「あーっ! あなた、ガラード家のアルフレッドでしょ!」
その時、不意にレイムから発せられた声に、アルがびくんっと身を震わせた。
「貴族の御曹司が一体私たちに何の用よ! ここは私たちの大事な遊び場なんだから、奪ったら怒るからね!」
リースを守るように立ち塞がりながら、レイムがアルにまくし立てる。
しかし当のリースは、きょとんとした表情でそれを見つめていた。
「べ、別に何も奪うつもりはない! こ、これを渡したかっただけだ!」
売り言葉に買い言葉の勢いで、アルがリースにプレゼントの入った紙袋を押しつける。
リースも、レイムですらも、何が起こったのか分からずに目を丸くして、アルを見つめた。
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