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「……えっ? コレ何よ。どういうこと?」
やっとの思いで口を開いたレイムに、アルはたどたどしく答えた。
「き、今日、お前の誕生日なんだろ? だ、だから、その……」
「アンタなんでリースの誕生日を知ってるのよ!」
「ま、窓から見てたから……」
「なにそれ、キモッ!」
「な、なんだと!?」
初対面でキモキャラ扱いされ、憤慨するアル。
確かに、見知らぬ男が友人に、『窓からずっと見てました』などと言いながらプレゼントを渡しているのだから、レイムとしては当然の反応だろう。
だが、世間を知らないアルには納得がいかない。
その辺の思考は、ブラールと同じなのであった。
「……一緒に遊びたいの?」
そんな一触即発の空気を破るように、リースが言葉を発する。
二人の少女の視線を同時に向けられて、アルは思わず赤面したまま黙り込んでしまった。
「一緒に遊びたい時はね、「入れて」って言うんだよ? 大きな声で、中に入れてって言うの! そうすれば、気持ちよく遊べるのよ。君、名前は?」
「え……だ、だからアルだけど……」
「アル君ね、それにしても君、背が大きいよねえ」
「お、お前が小さいんだよ」
「ふーん。まあいいわ。私がお手本を見せたげる!」
昔から世話焼き体質なのだろう。リースが何やら得意げに前に出て、上目遣いでアルを見つめる。
そして、はっきりとした声で、アルに言った。
「アル君、大きいね! ねえ、中に入れてっ! きっと気持ち良いよ!」
アルの目と鼻の先から屈託なく向けられたその笑顔に、アルはいよいよトマトのように顔を真っ赤にして硬直するのだった。
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