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「どうした! そんな攻撃では、俺を倒すことなどできぬぞ!」
ひたすら鎌を振るうことしかできないシェリスに、アルが高笑いをあげる。
しかしシェリスは、そんな挑発に乗ること無く、黙々と攻撃を続けた。
「……つまらぬな。ならば、お前に絶望を与えてやろう」
そう言って、今まで悠々と鎌をかわしていたアルの動きが止まる。
その隙を逃さず、シェリスは一気に鎌を振り下ろした。
「えっ……きゃああああっ!」
しかし、その鎌がアルに憑依した悪魔を切り裂くことは無かった。
アルに触れた瞬間、すさまじい魔力がシェリスを弾き飛ばしたのである。
「ははははははっ! 分かったかシェリス! お前の力では、鎌をまともに当てたところで俺にダメージを与えることはできぬ! お前が俺に勝つことは不可能なのだ!」
「そ、そんな……」
あまりに衝撃的な事実に、シェリスが思わずへたり込む。
普通の人間より遥かに高い魔力を持つはずのシェリスですら、長年力を蓄えてきた敵には歯が立たなかったのだ。
「さて、お前にはもう用は無い。最期は俺の手で、その身体を引き裂いてやろう」
アルの顔をした悪魔が、邪悪な笑みを浮かべながらシェリスに向かって歩を進める。
もはや戦意を無くしたシェリスは、ただ呆然とそれを見つめることしか出来なかった。
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