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「あーっ! 楽しかったねえっ!」
今までは透けるように青かった空がオレンジ色に姿を変えた頃、シェリスが大きく伸びをしながら声をあげた。
初めて子供の姿になって、思う存分遊んだシェリスの表情は満面の笑みに包まれており、自然と他の三人も笑顔になった。
「そ、そう! そんなに楽しかったなら、また明日も遊んであげてもいいわよ!」
シェリスとアルに対してモヤモヤした感情を抱いているリースが、何やら素直でない言葉を返す。
そんなリースを見て、レイムはニヤニヤと笑っていた。
「そうね、明日も明後日も遊べるのよね。フフッ楽しみだわあ」
何やら別のことを楽しみにしてる様子のレイムに、リースが少し頬を膨らませるが、大きく手を降るシェリスにほだされて、リースもすぐさま表情を戻し、手を振り返した。
ミ☆ ミ☆ ミ☆
「楽しかったね、アル君!」
そんなに距離があるわけでも無い帰り道をゆっくりと歩きながら、シェリスがアルに笑いかける。
「ああ……そうだな」
しかしアルは、ここ数日見せていたような子供らしい表情では無く、シェリスと初めて出会った頃のような達観した瞳でそれに返した。
「……アル君?」
異変に気付いたシェリスが、訝しげにその表情を見つめる。
しかしアルの瞳は、もはやシェリスには向けられず、どこか虚空を目指してさまよっていた。
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