呪縛封印

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  「なあ……シェリス」 不意に、目線は合わせぬままに、アルが口を開く。 ぽつりと発せられたその言葉はあまりに無機質で、鉛のような重みがあった。 「やはり、こんなことは間違っているのかも知れない。父上を騙し、こんな夕暮れまで遊び回って……」 「なあに言ってるのよ! 子供なんだから遊ばなくてどうすんの!」 サバサバと答えを返すシェリスに、アルが小さく笑みを向ける。 しかし、未だにその感情は安定しない様子で、またすぐに重苦しい表情に戻り、うつむいた。 「なあ、一つだけお願いしてもいいか?」 ふと、アルがやけに神妙な面持ちで、シェリスに向き直る。 その瞳は思わずドキリとしてしまうほどに大人びていて、どこか憂いを含んでいた。 「なあにー?」 対してシェリスは、いつもと変わらぬ口調で返す。 それがシェリスなりに気を使った結果なのか、それとも特に意味を持たぬことなのかは分からない。 分からないが、そんなシェリスの態度が、アルには嬉しかった。  
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