呪縛封印

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  「まあ……頼みって言うほどのことでもないんだけどな。明日からも俺と一緒に来て、俺を見てて欲しいんだ。」 アルの言葉に、一度首を傾げるシェリスだが、思案は一瞬で終わり、すぐさま笑顔で大きく頷いた。 「ああ、保護者になって欲しいってことかな? 全然OKだよ!」 若干ニュアンスが違ったのか、少し苦笑いを浮かべるアルだが、シェリスの屈託ない笑みは、アルから抗議の心を消し去ってしまっていた。 「ん……ああ、そんな感じでいい。俺が何かまずいことをしそうになったら、止めてくれればいいんだ。それだけで、だいぶ気が楽になる」 父親の目を盗んで遊びに行っているのだから、せめて誰かがきちんと見ているという後ろ楯が欲しいのだろう。 大人びていても、子供は子供。やはり親の言うことに歯向かうというのはそれなりに恐ろしくもあるのだろうから、シェリスの存在にすがることで、多少の安心感を求めるのは自然なことなのだ。 そう、シェリスは思っていた。 「分かった。もし何かあったら私からもお父さんに話してあげるから。アル君は何の心配もせずに、楽しく遊べばいいよっ♪」 「ありがとう、恩に着る」 ようやく本当の笑顔を見せてくれたアルに、シェリスが嬉しそうに頷く。 先ほどまでオレンジ色に輝いていた空は、いつの間にか夜の闇に染まりはじめていた。  
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