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「よし、リース発見っ!」
「きゃーっ!」
逃げるリースを追いかけて、アルが一気に走り出す。
身体能力では当然アルに分があるだろう、リースとの差はどんどん縮まっていく。
やがて逃げることを諦めたリースが、息を切らせて大地にへたり込む。
そしてハアハアと肩を上下させるリースに、アルが軽くタッチした。
「あー捕まっちゃったあ。アル君、はや……!?」
――その時、リースが口にしようとした何気ない言葉が、喉を押し潰す強い力によって遮られる。
いったい今、何が起こっているのか、リースには分からなかった。
先ほどまで笑っていたアルの手が、いきなり首筋に絡み付いてきたのだから。
「あ……あ……ぅ……」
首を引きちぎらんばかりに締め付けてくるアルの手を振りほどこうと、リースが必死でもがくも、首筋に噛みついた手は離れることはない。
苦痛に見開かれたリースの瞳が捉えたアルは、恍惚とした表情で邪悪な笑みを浮かべていた。
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