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「うわあああ!」
シェリスが吼え、走るスピードを上げる。
アルが放つ暴風をかいくぐり、逆にその右手から激しいつむじ風を放った。
「くっ……」
リースとアルの間を縫うようなその風に、アルが顔をしかめてリースを離し、バックステップでそれをかわす。
それを確認すると、シェリスは素早くアルに向き直った。
「なぜ邪魔をする……貴様もシャノカも……」
ぎりりと唇を噛んで言葉を放つアルに、シェリスは無言のままにらみ返す。
ちらりとリースを見れば、微かに胸が上下しているのが確認できた。
ひとまず最悪の事態は免れたことにホッとするも、決して油断ができる状況ではない。
シェリスは真剣な面持ちでアルを見据えると、ゆっくり言葉を放った。
「あなたが〝呪い〟の正体だったってわけね……。全く、陳腐なカラクリだわ」
挑発的なシェリスの言葉に、アルがニヤリと口角を吊り上げた。
「まあそういうな。これでも長い間、誰にも気付かれてないんだ。お前以外にはな」
対するアルは不敵な笑みを浮かべて言葉を返す。
シェリスは大人の姿に戻り、無言で鎌を出すと、アルに向けて静かに構えた。
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