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暗闇の中、レイムは目覚めた。
明かりの灯らない部屋に充満する血の匂い。
瞳を擦る手がベタつき、自慢の髪の毛は、まるで油で固めたようにパサパサになっている。
異変に気付き、灯した魔力灯に照らされた光景は、あまりにもおぞましいものであった。
「い、いやああああああああ!」
部屋中に飛び散った血。
自分の身体を汚す血。
真っ赤に染まった両手。
そして身体中を氷の刃で貫かれて絶命している父と――愛すべき母。
「ママ……!? なにこれ……まさか私が……なにこれ、なにこれ、なにこれなにこれ……いやあああああああっ!」
何が起きているのか分からなかった。
夢であると信じたくても、この身体中にまとわりつく不快な血の感触と濃密な香りが、それを許してはくれない。
発狂し、慟哭を続けるレイムの耳に、底抜けに明るい声が飛び込んできた。
「きゃーっ♪ レイムさんたら凄いです! 派手に殺りましたねえ♪ 真っ赤な~血かい~♪ なんてね、アハハハハッ!」
何の前触れもなく、レイムの後ろに立っていた人物は、屈託無い笑みを浮かべるシャノカだった。
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