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「僕はアルフレッドを殺し、シェリスを我が物にしたい。その為に、君を利用させてもらうのさ。まあ別に君じゃなくてもいいんだけどさ。いざとなれば正体を明かしても面白いし」
「正体……? 明かす……?」
意味のわからないイールの言葉に、レイムが怯えた様子で返す。
それを見越していたかのように、イールがシャノカに合図をする。
「シャノカ、ザルファーをここへ」
「はいっ!」
対するシャノカは目を輝かせて姿を消す。
やがてもう一度現れる頃には、傍らに巨大な獣を引き連れていた。
「これはね。元々は人間だったんだ。獣の魔力を少しずつ送り込んで、今は心も身体も獣に成り下がってるけどね」
「い、いやあああああああ!!」
聰明なレイムは、その言葉だけで全てを察した。
しかし、泣き叫ぶレイムを前にしても、イールとシャノカの表情から笑みは消えることが無かった。
「お願いぃ! やめて……やめてよぉ! 助け……助けてぇぇ! カイン……カイン! いやあああ!」
半狂乱になって首を振るレイムの腕を、イールがしっかりと掴む。
「それじゃ、おやすみ。目が覚めたら、もう君は人間じゃ無いからね。アハハハハ!」
「いやあああ! 許してぇぇぇぇ!」
その懇願の言葉を最後に、レイムは意識を失った。
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