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「アル、ブラール! 隙を見つけたら遠慮なく撃ち込んじゃって! この身体は、少し巻き込まれたくらいじゃ壊れないから!」
背後の二人に向かって指示を出し、ククリーとシェリスの融合体が、イールに向かって距離を詰める。
体術はククリーの仕事。周囲に気を配り、魔法でサポートするのはシェリスの仕事。
同じ体を共有する二人の役割は、既に決まっていた。
「喰らいなさい!」
「効かないよ、そんなんじゃさあ!」
振り下ろされる鎌を、イールの結界魔法が防ぐ。
激しい打撃音が空気を揺らし、ククリーの手に振動が走る。
『ククリー、避けて!』
『分かってます!』
イールがもう片方の手で放った氷の魔法を、ククリーがバックステップで避ける。
その瞬間、シェリスの頭の中でおぼろげに組み立てられていた疑問が、はっきりとした形で組みあがった。
『ククリー、戦いながら聞いて。今のイールには、二つの〝不可解な点〟があるわ』
シェリスが不意に、真剣な口調でククリーに語りかける。
イールの追撃を鎌でけん制しながら、ククリーその声に耳を傾けた。
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