魔王、滅するとき

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  「あいつ、言ってたんだよ。僕は一人で頂点に立っても満たされないって。苦楽を共にする仲間がいなければ、僕の人生はつまらないものになるって。そう言いながら……そう言いながら死んだんだよ、あいつはッ!」 イールが、悲痛な叫びをあげる。 そこには、彼が未だに捨てきれぬプライドが見え隠れしていた。 「だから僕は見せ付けてやりたかったんだ……! シャノカや……兄さん達のような奴らに、絆や仲間などというものの弱さや脆さを、見せ付けてやりたかったんだ。そうしなければ、僕はここから進めない……進めないんだよ!」 ここまで迷いなく進んできた彼にとって、自分のことを最も理解してくれていると思っていた存在から自分の生き方を否定されるということは、それほどまでに大きな出来事だったのだろう。 自分の道が正しかったのだと、無理やりにでも思い込まなければ先に進めないという彼の気持ちは、アルにも十分に理解しうる説得力を持っていた。
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