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「アル君たち、元気にやってるみたいね」
「そうだな」
青い空に輝く太陽の、そのまた遥か上空。
天国と呼ばれる場所に、二人はいた。
「リースもシェリスも、幸せそうで良かったわよ、本当に。ね、カイン」
「本当にそうだよな。まあ、ここに来たら来たで楽しかったかもなんて考えてるんじゃないのか、レイム」
「何言ってるのよ、ばか」
雲の床に腰かけて肩を寄せ合い話す二人の姿には、若い身空で命を失ったことに対する悲壮感は見受けられない。
自らの力で未来を掴みとった友人たちを、ただ微笑んで見つめていた。
「でも、この調子じゃアル君はいつまで経ってもヘタレ童貞よね。リースも暴走バージンのままだし。あーあ、私がそばにいたら、もっと沢山手ほどきしてあげたのにー!」
「全くだ。俺からも背中を押してやりたかったな」
そう言って微笑み合い、二人はゆっくりと立ち上がる。
「じゃ、ちょっとママのところに行ってくるわね」
「ああ、俺もオヤジのとこいってくる」
手を振りあい、別の道を行く二人。
またいつでも会えるのだから寂しさなど欠片も無い。
地上で懸命に生きる友人たちの姿に想いを寄せて、彼らは新たな日々を過ごすのだった。
True End
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