30人が本棚に入れています
本棚に追加
/148ページ
「でも、実際そう思いませんか?私はその為に戦ってますし……」
いや、実際は違う。ただ、私が目指したい未来を開く為にはアラガミのいない世の中を作るしかないということだ。
「そうですね、平和な世界を訪れさせる為に、先ずは目先の任務をこなしましょう」
笑顔でトウカ隊長が言う。
そう、まだ私は夢を求める道の第一歩すら踏めていないんだから、頑張らないと。
更にしばらく探索していると、少し離れた所に白い物体を発見する。
私はそれを見た瞬間、息を飲んだ。
「……いた」
資料では確認したけど初めて見るアラガミに、私は鼓動が早鐘のようにどんどん早くなっていくのを感じる。
「……よし」
私は神機をブラスト銃に変形させる。トウカ隊長からいくつかバレットを貰った中でも一番OPの消費が少ないバレットを装填する。ていうか、今はこれしか撃てない。他のはオラクルリザーブしないと、とてもOPが足りない。
「いけっ」
狙いを定め、トリガーを引く。重力のあるバレットだから、少し上を目掛けて撃った。
放たれた弾丸は見事にオウガテイルにヒットし爆発した。
「ナイスです」
トウカ隊長がそう言ってくれたが私には素直に喜ぶ程の心の余裕はなかった。何せ、この攻撃でオウガテイルは私という存在に気がつくのだから。
案の定、何とも形容し難い声で吼えこちらへ走ってきている。
「落ち着いて迎撃してください。敵は1体、他に出現したらそいつは私が対処します」
そう言い、トウカ隊長は一歩退く。
「でいやぁ!」
先ずは一閃、オウガテイルを斬る。今までの訓練ダミーという無機物を斬る手応えとはまるで違った感覚が伝わる。これがオラクルを斬る感覚なのか。
「うわっ」
オウガテイルが、自分の体を駒のようにして尻尾を1回転振り回す。辛うじて後退して避けたが、もう1テンポ判断が遅かったら危なかった。
(攻撃してくる)
当たり前だが、私にとっては初めての被反撃。何もかもが新鮮で、そして恐い。
最初のコメントを投稿しよう!